Title
マルチプルフェイズプロジェクション法によるトポロジ
ー最適化(設計変数の低減のための新しいプロジェクシ
ョン関数の定式化)
Author(s)
乙守, 正樹; 泉井, 一浩; 西脇, 眞二
Citation
TRANSACTIONS OF THE JAPAN SOCIETY OF
MECHANICAL ENGINEERS Series C (2011), 77(775):
836-846
Issue Date
2011-03
URL
http://hdl.handle.net/2433/171652
Right
© 2011 一般社団法人 日本機械学会
Type
Journal Article
Textversion
author
マルチプルフェイズプロジェクション法によるトポロジー最適化
∗
(設計変数の低減のための新しいプロジェクション関数の定式化)
乙守正樹
∗1,
泉井一浩
∗1,
西脇眞二
∗1A Topology Optimization Method based on the Multiple Phase Projection Method
(
A New Formulation of the Projection Function for Reducing the Number of Design
Variables
)
Masaki OTOMORI
∗1, Kazuhiro IZUI and Shinji NISHIWAKI
∗1Department of Mechanical Engineering and Science, Graduate School of Engineering, Kyoto University Yoshida-honmachi, Sakyo-ku, Kyoto, 606-8501, JAPAN
The topology optimization method is the most flexible optimization method that allows both shape and topological changes during the optimization process. However, due to its high flexibility, the utility of topology optimization results is often spoiled by a preponderance of impractical designs that are difficult or impossible to manufacture, such as structures with numerous extremely thin members and tiny holes. This paper proposes a new structural optimization methodology that reduces the number of design variables in a multiple phase projection method, which advantageously reduces computational time and benefits manufacturability. The multiple phase projection method is a geometrical contraint method that imposes a minimum length scale on both solid and void phases. Normally, two design variables are associated with each of these phases at each node in the finite element analysis, resulting in an undesirable increase in the number of design variables. To mitigate this problem, we develop a new methodology that requires only one design variable at each node. An optimum design example for a minimum compliance problem is provided to confirm that the new methodology provides reasonable solutions that achieve the given minimum length scale using a reduced number of design variables.
Key Words : Optimal Design, Structural Design, Structural Analysis, Sensitivity Analysis, Finite Element Method
1. 緒 言 トポロジー最適化(1)は,構造の形状だけでなく穴の数などの形態の変更も可能とする最も自由度が高い構造最適 化の方法である.この方法の基本的な考え方は,構造最適化問題を指定した領域内における材料分布問題に置き 換えることにある.これにより,形状と形態の変更を可能とするが,微小な穴が無数にある形態や極薄の形状な どが最適構造として創生されることも許容することになる.そして,このような構造は,設計変数の緩和後には グレースケールとして表現される.しかし,グレースケールで構成される構造は,数学的および物理的な解釈は 可能であるものの,実際には製造不可能であるため,工学的には意味を持たない構造と言える.また,グレース ケールは含まないものの,多くの部分構造と穴で構成される極めて複雑な構造を最適構造として得る場合もあり, このような複雑な最適構造も,一般的には製造が困難である場合が多い. このような複雑な形状を制御する方法として,現在までに幾つかの方法が提案されている.これらの方法は,大 別して,フィルターに基づく方法,幾何制約を与える方法の二つに分類される. フィルターに基づく方法には,密度の感度にフィルターを課す方法(2)や,密度そのものにフィルターを課す方法 (3)などがある.これらの方法は,その実装は比較的容易であるが,最適化計算の収束性を悪化させるうえ,幾何制 ∗ 原稿受付 2010年7月15日 ∗1 正員,京都大学大学院 工学研究科 機械理工学専攻(〒606-8501京都府京都市左京区吉田本町) Email: [email protected]
約を明示的に設定できない欠点をもつ.これに対して,幾何制約を与える方法には,ペリメータに制約を課す方法 や,最小寸法制約を最適構造の最小半径として与え,指定した最小寸法より小さな形状が生成されないように制 約を課す方法などがある.これらの方法は,制約を陽的に与えるか,陰的に与えるかにより,二つに分類される.
幾何制約を陽的に与える方法には,Perimeter Control法(4)や,Minimum Member Size Control法(5),Regularized Penalty Functionを利用した方法(6),Monotonicity based Minimum Length Scale法(7)などがある.これらの方法は, 制約を陽的に表現できるが,パラメータの設定に難しさをもつうえ,最適化計算の収束性を悪化させる欠点をもつ. 幾何制約を陰的に与える方法には,Heaviside Projection Method(以下,HPMと略す)(8)や,Morphology-based Filters(9)などがある.Morphology-based Filtersは,最小寸法である幾何制約を満足するように,最小寸法制約の円 内で密度の最大値と最小値をとるフィルタリングを繰り返す.このため,感度解析に多くの計算回数を必要とする 欠点をもつ.これに対して,HPMは,設計変数を有限要素モデルの節点の位置に配置し,プロジェクション関数 を用いて設計変数空間から要素密度空間へ写像し,ヘビサイド関数を用いて密度を求める.つまり,設計変数の値 が0より大きい場合,最小寸法制約の円の中に含まれる要素が全て物体領域もしくは空洞領域となることにより, 最小寸法よりも小さな構造が創成されないようにする.この方法は,物体領域と空洞領域のどちらか一方に最小寸 法制約を与えることができるが,与えていないもう一つの領域には,望ましくない形状が得られる問題点をもつ. この問題を解決する方法として,HPMに基づいて物体領域と空洞領域の両方に最小寸法制約を与える方法が幾 つか提案されている.Inversed Projection法(10)は,各要素の密度に閾値を設けて,二種類のプロジェクション関数 を用いるが,閾値の設定に試行錯誤を要する上,与えた最小寸法制約が満足されない場合があることが指摘され ている(11).Multiple Phase Projection Method (以下,MPPMと略す)(11)は,各節点に物体領域と空洞領域に対応す る二つの設計変数を用いて,物体領域と空洞領域に最小寸法制約を与えるが,設計変数の数が二倍になり,従来 法より計算時間を必要とする.この問題を解決するため,アダプティブに設計変数の数を減らす方法(12)も提案さ れているが,物体領域に最小寸法制約を与える方法しか示されていない. そこで本研究では,このような問題を解決する方法として,設計変数の低減化が可能な新しいプロジェクション 関数を用いたMPPMを構築する.すなわち,前述のように,従来の方法では,各節点に物体領域と空洞領域に対 応する二つの設計変数を設定しているのに対して,本研究では,一つの設計変数を用いて,設計変数の値が正の 場合は,物体領域を写像し,負の場合は空洞領域を写像する新しいプロジェクション関数の定式化することによ り,設計変数の数を半減可能な新しい方法を提案する. 以下,2章では,MPPMの概略を説明するとともに,提案する新しいプロジェクション関数の定式化を行う.3 章で,前章の定式化に基づいた最適化の実装方法について説明を行う.最後に,4章では簡単な最適設計例により, 本報で提案する方法の有効性を検証する. 2. 定 式 化 2·1 HPM ここでは,まずHPMの基本的な考え方の概略を示す.トポロジー最適化では,構造最適化問題を,指定した設 計領域内での材料分布問題に置き換えることにより最適な構造を求める.材料分布問題への置き換えには,通常, 有限要素モデルの要素,あるいは節点に正規化された密度関数を配置し,その値が,0あるいは1となるかにより, 材料分布状態を表現する.HPMでは,従来のトポロジー最適化とは異なり,設計変数は,正規化された密度関数 のような物理的な意味を持つ変数でなくてもよく,さらに基本的には有限要素モデルのメッシュとは独立に,設計 空間のどこに配置してもよい.本研究では,文献(8)(10)(11)と同様に,有限要素モデルの節点の位置に設計変数を配 置し,後述するプロジェクション関数を用いた写像後には,要素に正規化された密度関数を配置するものとする. 図1に,二次元問題の場合の,幾何制約である最小寸法を設定する領域を示す.図に示したように,まずe番 目の有限要素に対して,指定した最小寸法制約を示す半径rminの円内に含まれる設計変数φjを,次式により特定 する. φj∈Ne if r≡ |xj−¯xe| ≤rmin (1) ここで,Neは,e番目の有限要素に関する最小寸法制約の領域を表し,xj,¯xeはそれぞれ,設計変数φjとe番目 の要素の中心の座標を表す.
e
N
min
r
Fig. 1 Domain where minimum length scale is constrained
次に,次式に示すプロジェクション関数を用いて,e番目の有限要素に関する,距離で重み付けをした設計変数 の平均値µeを求める. µe=
∑
j∈Ne φjw(|xj−¯xe|)∑
j∈Ne w(|xj−¯xe|) (2) ここで,wは次式で定義される距離による重み関数で,要素の中心により近い設計変数に大きな重みが与えられる. w(|xj−¯xe|) = rmin−r rmin ifφj∈Ne 0 otherwise (3) さらに,ヘビサイド関数を用いて,要素における正規化された密度関数の値を求める.それにより,ある設計変 数が0より大きい値を取る場合,その設計変数を最小寸法制約の円の中に含む全ての要素が物体領域,あるいは 空洞領域となり,最小寸法制約より小さい形状が創成されないことになる.なお,このプロジェクション関数は, 与えられる最小寸法制約により陰的に決定され,メッシュサイズには依存しない.以下に,物体領域,あるいは 空洞領域に最小寸法制約を課す場合について,定式化を示す. 物体領域に最小寸法制約を課す場合には,式(2)で得られたµeから,ヘビサイド関数H 1(µe)を用いて,次式よ りe番目の有限要素に関する正規化された密度関数ρe 1の値を求める. ρe 1=H1(µe) = 1 if µe>0 0 if µe=0 (4) 上式より,領域Neにおいて,µeが0よりも大きな値となれば,該当する要素の密度関数の値が1となり物体領 域を表す.しかし,上式を用いた場合,関数の不連続性より最適化計算に必要な感度を計算できない点をもつた め,計算上は次式の平滑化されたヘビサイド関数を用いる. ρe 1=Hs(µe) =1−e−β µ e +µee−β (5) ここで,βはヘビサイド関数の曲率を表すパラメータで, 図2に示したように,βが0のときヘビサイド関数は 線形となり,β を増加させていくと,平滑化されたヘビサイド関数は,式(4)で表されるヘビサイド関数に近づき, 結果として,グレースケールの領域を小さくする. 他方,空洞領域に最小寸法制約を課す場合には,式(2)で得られたµeから,次式よりe番目の有限要素に関す る正規化された密度関数ρe 0の値を求める. ρe 0=H0(µe) = 0 if µe>0 1 if µe=0 (6)0 . 1 8 . 0 6 . 0 4 . 0 2 . 0 0 . 0 0 . 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 e
µ
( )
e SH
µ
5 = β ) (a ) (b ) (c ) (d ) (a ) (b ) (c ) (d 50 = β 0 = β 1 = βFig. 2 Smoothed Heaviside function forµe
この場合には,領域Neにおいて,µeが0よりも大きな値となれば,該当する要素の密度関数の値が0となり空 洞領域を表す.なお,この場合も最適化計算には,次式の平滑化されたヘビサイド関数を用いる. ρe 0=1−Hs(µe) =e−β µ e −µee−β (7) 上に示したように,HPMは,物体領域または空洞領域のどちらか一方に最小寸法制約を課すため,最小寸法制 約を課していない領域では,制約を満足しない複雑な形状が創成される問題点をもつ. 2·2 MPPM MPPMでは,上述の問題を解決するため,物体領域と空洞領域の両方に最小寸法制約を課す.すなわち,各節 点に物体領域と空洞領域に対応する設計変数φ1 j,φ0 jを設定し,HPMと同様に,物体領域と空洞領域の最小寸法 制約の領域Ne 1,N0eのそれぞれに対して,式(2)のプロジェクション関数を用いて,距離で重み付けをした設計変 数の平均値µe 1,µ0eを求め,さらに,式(4),(6)のヘビサイド関数により,それぞれの領域の正規化された密度関 数ρe 1,ρ0eを求める.最後に,e番目の有限要素に関する密度関数ρeの値を,次式のようにρ1eとρ0eの平均値と して求める. ρe=1 2(ρ e 1+ρ0e) (8) =1 2(H1(µ e 1) +H0(µ0e)) (9) なお,この場合も最適化計算では,式(5),(7)の平滑化されたヘビサイド関数を用いて,次式より求める. ρe=1 2 [ (e−β µ0e−µe 0e−β) + (1−e−β µ e 1+µe 1e−β) ] (10) 上式より,ρe 1=ρ0e=1のときρe=1となり物体領域を示す.これに対して,ρ1e=ρ0e=0のときρe=0となり空 洞領域を示す.しかし、ρe 1=1,ρ0e=0,またはρ1e=0,ρ0e=1のとき,ρe=0.5となり,その領域はグレース ケールとなるが,次式に示す,SIMP法(13)により,要素剛性行列 keにペナルティを与えることでグレースケール を回避する. ke= [(ρe)p+ρmin]ke0 (11) ここで,pはペナルティパラメータで,p>1を用いてグレースケールに制約を与える.ke 0は物体領域の要素剛性 行列を表す.ρminは,剛性行列を正定値にするために与えられる十分に小さい値である. 以上の定式化より,MPPMの設計変数の数はHPMの2倍となり,最適化計算にHPMより多くの時間を必要と することを注記しておく. 2·3 新しいプロジェクション関数の定式化 前述のMPPMでは,どちらか一方の領域がプロジェクション関数により最小寸法制約の領域に写像されるが, 写像されない領域に対応する設計変数の値は0となり,各節点に配置した二つの設計変数が同時に0以上の値を持 たない.この点に着目し,本研究では,上述の問題を解決する方法として,各節点に一つの設計変数を設定し,設
計変数が正の場合に物体領域を写像し,負の場合に空洞領域を写像するようにすることで,設計変数の数を減らす 方法を提案する.すなわち,設計変数φjを用いて,物体領域のプロジェクション関数を次式のように定式化する. µe 1=
∑
j∈N1e (|φj|+φj)w(|xj−¯xe|) 2∑
j∈Ne 1 w(|xj−¯xe|) (12) 上式より,領域N1eに正の値のφjがあれば,µ1eは正の値をとり,領域N1e内の全てのφjの値が0以下のときには µe 1は0となる.次に,µ1eより,式(4)のヘビサイド関数,数値計算上は近似関数である平滑化されたヘビサイド 関数,式(5)を用いて,ρ1eを求める.つまり,領域N1eに正の値の設計変数があれば,ρ1eが1となり物体領域を 写像することになる. 他方,空洞領域のプロジェクション関数を次式のように定式化する. µe 0=∑
j∈N0e (|φj| −φj)w(|xj−¯xe|) 2∑
j∈Ne 0 w(|xj−¯xe|) (13) 上式より,領域N0eに負の値のφjがあれば,µ0eは正の値をとり,領域N0e内のすべてのφjの値が0以上のときに はµe 0は0となる.次に,µ0eより,式(6)のヘビサイド関数,数値計算上は近似関数である平滑化されたヘビサイ ド関数,式(7)を用いてρ0eを求める.つまり,領域N0eに負の値の設計変数があれば,ρ0eが0となり空洞領域を 写像することになる.最後に,e番目の有限要素に関する正規化された密度関数ρeは,MPPMと同様に,ρ1eとρ0e の平均値として求める. なお,上の定式化では,設計変数φjの絶対値を用いてプロジェクション関数の定式化を行っているため,φjの 感度がφj=0で不連続となる.ここでは,この問題を回避するため,設計変数の絶対値を,次式で示す関数A(φ) で近似する. A(φj) = √ φ2 j+ε2 (14) ここで,εは,関数A(φ)を平滑化するためのパラメータである.図3に近似関数を示す.さらに,プロジェクショ ン関数が正規化されるように分母を修正すると,プロジェクション関数は次式で表される. µe 1=∑
j∈Ne 1 (√ φ2 j +ε2+φj ) w(|xj−¯xe|) (√ 1+ε2+1)∑
j∈Ne 1 w(|xj−¯xe|) (15) µe 0=∑
j∈N0e (√ φ2 j +ε2−φj ) w(|xj−¯xe|) (√ 1+ε2+1)∑
j∈Ne 0 w(|xj−¯xe|) (16) 2·4 平均コンプライアンス最小化問題 ここでは,前述の方法を平均コンプライアンス最小化問題に適用するための定式化を行う.線形弾性体で,物体 領域と空洞領域で構成される固定設計領域をDとし,境界∂Dに荷重ベクトルfが作用したときの変位ベクトル をuとする.このとき,体積制約の条件下で平均コンプライアンスcを最小化する最適化問題は,以下のように 定式化される minimize φj c=fTu (17) subject to N∑
e=1 ρeve≤V max (18) Ku=f (19) −1≤φj≤1 (20)0 . 1 5 . 0 0 . 1 − −0.5 0.0 0.5 1.0 j
φ
( )
j Aφ j φFig. 3 Approximated absolute value
ここで,veは各有限要素の体積,Vmaxは許容される体積の上限値,Nは要素数を表す.また,Kは,剛性行列を 表す.なお,ここでは,前述のMPPMの定式化を離散系で議論しているため,定式化の整合性を保つために,最 適化問題も同様に離散系で記述している. 次に,最適化計算に必要な平均コンプライアンスの感度を求めると次式となる. ∂c ∂φj =
∑
e∈D ∂c ∂ρe ∂ρe ∂φj (21) 上式において,e番目の有限要素の密度ρeに対する平均コンプライアンスの感度 ∂c ∂ρe は,最適化問題が自己随伴 形式であるため,次式で求められる. ∂c ∂ρe =−u T ∂K ∂ρeu=−p(ρ e)p−1ueTke 0ue (22) ここで,ueはe番目の有限要素の変位ベクトルを表す.式(22)を式(21)に代入すれば,平均コンプライアンスの 感度は,結局,次式となる. ∂c ∂φj =−∑
e∈D p(ρe)p−1ueTke0ue∂ρ e ∂φj (23) ここで,上式中の∂ρe ∂φj は,式(24)-(26)より求められる. ∂ρe ∂φj =∑
i=1,0 ∂ρe ∂ µe i ∂ µe i ∂φj (24) ∂ρe ∂ µe i =1 2(−1) i+1(βe−β µe i +e−β ) (25) ∂ µe i ∂φj = √ φj φ2 j +ε2 + (−1)i+1 ( w(|xj−¯xe|) √ 1+ε2+1)∑
k∈Nie w(|xk−¯xe|) (26) 3. 最適化手法の実装 3·1 最適化アルゴリズム 図4に,最適化のフローチャートを示す.図に示したように,初めに設計変数の初期値を与え,次にプロジェク ション関数を用いて,µe 1,µ0eを計算し,ヘビサイド関数を用いて,要素の密度ρeを計算する.次に,有限要素法 を用いて,目的関数または設計変数が収束した場合,最適解が得られたと判断し,最適化計算を終了する.収束 しなかった場合,目的関数の感度を計算し,設計変数を更新し,最初のステップに戻る.なお,本研究では,最 適化手法にはMMA(14)を用い,これにより設計変数の更新を行う.Compute objective function using FEM
Compute sensitivities
Update design variables using MMA Convergence?
Compute via projection function
µ
1e,µ
0eInitialize design variable
End
j
φ
YES NO
Compute via Heaviside function
ρ
ej
φ
図
_mod
より変更
Fig. 4 Flowchart of optimization procedure
3·2 最適化パラメータの更新方法 MPPMでは,SIMP法を用いた場合,ペナルティパラメータpの値を大きくすれば,グレースケールを除去で きるものの,最適化計算において,収束性を悪化させることが知られている.そこで本研究では,文献(8)(11)(12)と 同様に,ペナルティーパラメータpと,ヘビサイド関数のパラメータβ を1.0から段階的に増やして,最適化計 算を行う.パラメータ更新のフローチャートを図5に示す.ここで,∆p=0.5,∆β =1.1kとした.kは繰り返し 回数である.また,pmax=5.0,βmax=50.0とした. Update parameters : ? Solve optimization problem
1 , 1 = = β p NO
(
, max)
minβ β β β= +∆Discrete topology? End YES max max and β=β =p p NO
(
, max)
min p p p p= +∆図
_mod
より変更
End YESFig. 5 Flowchart of updating parameters
4. 数 値 例 本研究で提案する方法を,簡単な平均コンプライアンス最小化問題に適用し,有効性を検討する.図6に設計 領域を示す.図に示したように,設計領域の左右下端を拘束し,中央上部に荷重を負荷し,平均コンプライアンス を最小化した場合の最適構造を求める.なお,設計問題の対称性より,右側半分の領域で最適化計算を行う.最適 化に用いた物体領域のヤング率は1.0,ポアソン比は0.25,許容される体積の上限値Vmaxは固定設計領域の50%, ρminは1.0×10−4とした.なお,本数値例では,文献(8)(11)(12)の最適化結果との比較を容易にするため,文献(8)(11)(12) と同様,無次元化したヤング率,寸法を用いている.
60
20
Fixed design domain D
120
20
Fixed design domain D
Fig. 6 Design domain of simple design problem
4·1 提案手法により求めた最適構造の検討
図7に,提案手法により求めた最適構造を示す.図に示すように,最適構造の境界付近にグレースケールを含
む構造となっている.図中,右上に示す線は,上側の線が物体領域,下側の線が空洞領域に与えた最小寸法制約 の大きさを示す.
なお,2章の定式化では,最小寸法制約を最適構造の最小半径rminとして定式化しているが,図中には,直径 dmin(=2rmin)を示している.ここでは,dmin=2.0として最適構造を求めた.
また,図8に,最適化後の設計変数の分布を示す.図中Aの領域のように,境界付近では,最小寸法制約の円 の中に,正の値を持つ設計変数と負の値を持つ設計変数が混在するため,物体領域と空洞領域の両方が写像され る.そのため,最適構造の境界付近に,与えられた寸法制約と同じ幅のグレースケールが生じている.よって,グ レースケールの幅の中間で,物体領域と空洞領域に分割することで,望ましい最適構造が得られると考えられる. ここでは,以下に示す手順でグレースケールを除去した.まず,式(27)に示すように,0.25<ρe<0.75の要素に 対して,要素の中心から最小寸法の半径の円に含まれる要素の密度の平均値ρˆeを求める. ˆ ρe=
∑
j=Ne ρj∑
j=Ne 1 if 0.25<ρ e<0.75 ρe if otherwise (27) その後,ρˆeを用いて,体積制約を満たすような適当な閾値ρe thresで,グレースケールを除去した.なお,閾値 ρe thresは,初期値を0.5,初期区間を[0 1]とし,二分探索法を用いて求めた. ¯ ρe= 1 if ˆρe≥ρthrese 0 if ˆρe<ρthrese (28)Result new MMP sH
1.0 0.0 0.5図
_mod
より変更
Fig. 7 Configuration using the proposed MPPM before removing grayscales
Result new MMP sH DV
1.0
-1.0 0.0
A
4·2 HPMとMPPMによる最適構造の比較 ここでは,従来のHPM,MPPMと提案する方法の比較を行う.最小寸法制約をdmin=2.0として最適構造を求 めた.図9に最適構造を示す.図9(a)は,HPMで物体領域のみに制約を与えた場合の最適構造,図9(b)は,HPM で空洞領域のみに制約を与えた場合の最適構造,図9(c)は,MPPMで求めた最適構造,図9(d)は,提案手法で求 めた最適構造を示す.この場合,グレースケールの除去に用いる閾値ρe thresは0.533となった.図中,右上に最小 寸法制約の大きさを示し,NAは最小寸法制約を与えなかったことを意味する.また,いずれの場合も最適解では, 3.2節で述べた最適化パラメータの値が,p=5.0,β =50.0となった.図9(a)と(b)においては,最小寸法を満足 しない微小な孔や薄い形状などが見られる.これに対して,図9(c)と(d)では,そのような形状が見られないこと が確認できる. 次に,各手法において,同一の環境で計算を行い,初めの100回の最適化ループの平均の値を求めた結果を比較
する.図中に,1回の最適化ループで感度解析に要した時間を,Sensitivity computation timeとして示す.なお,こ こでの計算は,Intel Core2 Quad CPU,メモリ4.0GBのコンピュータを用い,プログラムはMATLAB version 7.5
を用いて実装した.感度解析以外の部分で1回の最適化ループに要した時間は,各手法においてほぼ同じであっ たため,ここでは省略する.提案する手法では,従来のMPPMに比べ,感度解析に要する時間を大幅に削減でき ていることが確認できる.また,図中に,得られた最適解の平均コンプライアンスの値を,Objとして示す.提案 手法を用いた場合の平均コンプライアンスの値をMPPMの場合と比較すると,約3.2%大きいもののほぼ同等の 値が得られている.したがって,提案する手法を用いて短い計算時間で効率的に最適構造を求められることがわ かった.
(a) Solid phase projection in HPM
(b) Void phase projection in HPM
(c) Conventional MPPM
(d) Proposed MPPM Sensitivity computation time : 19.37
Sensitivity computation time : 19.36
Sensitivity computation time : 37.64
Sensitivity computation time : 19.25
1.0 0.0 0.5 1.0 0.0 0.5 1.0 0.0 0.5 1.0 0.0 0.5 NA
図
_mod
より変更
NA Obj : 75.55 Obj : 74.25 Obj : 75.53 Obj : 77.934·3 最小寸法制約の大きさによる最適構造の比較 次に,最小寸法制約の大きさによる最適構造を比較した.図10に,提案手法で最小寸法制約をdmin=1.0,2.0,3.0 とした場合の最適解を示す.このとき,グレースケールの除去に用いる閾値はそれぞれρe thres=0.500,0.533,0.527 となった.また,いずれの場合も最適解では,最適化パラメータの値が,p=5.0,β=50.0となった.さらに,い ずれの場合も与えられた最小寸法制約を満たす解が得られていることが確認できる. 1.0 0.0 0.5 (a) dmin=1.0 (b)dmin =2.0 (c)dmin =3.0
図
_mod
より変更
1.0 0.0 0.5 1.0 0.0 0.5Fig. 10 Optimal configurations using the proposed MPPM for various magnitudes of dmin
5. 結 言 本研究では,計算時間に有利な新しいMPPMを提案した.本研究で得られた結果を以下に示す. (1)有限要素モデルの各節点に設計変数を一つだけ設定する新しいプロジェクション関数の定式化を行い,従来 のMPPMよりも設計変数の数を半減させる,計算時間に有利な方法を提案した. (2)平均コンプライアンス最小化問題に適用し,本研究で提案する方法の有効性を検証した.その結果より,従 来のMPPMと比べ,感度解析に要する時間を大幅に削減できることが確認できた.また,得られた最適構造の境 界付近にグレースケールが含まれるものの,グレースケールは除去することができ,妥当な最適構造が得られる ことを示した.さらに,本研究で提案する方法において,最適構造の最小寸法の設定が可能であることを示した. 謝 辞 本論文の第一筆者は,アイシン・エィ・ダブリュ株式会社の支援のもとに研究を実施した.本支援に深く謝意を 表する. 文 献
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